Five Little Pigs

もっとも好きなジャケットの一つです。原題をまんま絵にしただけですが、イラストの出来栄えが最高。緊張感の無さと、ストーリーとのアンマッチさの比較の妙は、題名設定の意味を、見事に表現していると思います。
こういう手法は、女王の好みとするところで、内容は、標準以上の入り組んだ描写と、過去と現在の因縁展開というもの。最高の出来栄えの一つでしょう。
原題の振り方は、黒澤明監督が好んだ効果を、表現しているようにも思います。黒澤さんは、不気味な画面のときに明るい背景音楽を流すことで、一層その場面の言い知れぬ緊張感を表現したそうです。(天国と地獄で、犯人が歩いていく場面で、カッコーワルツを流すなどの手法)
クリスティも、そういった皮肉な手法を、会得していたのでしょう。
そういった意味合いも込められたジャケットだと思います。

五匹の子豚

こちらは、いつもどおりのジャケットデザインと、翻訳題名の一冊。日本の読者は、クリスティが与えてくれた題名の内容のアンマッチさの愉しみを、その内容が持つ力で感じることが出来ますが、翻訳者は、仲介者に徹しているだけという展開ですね。
この是非は、別に論じられると思う主題ですが、翻訳者の個性というものは、どう考えていけばいいかと、いつも思ってしまいます。
無声映画における弁士の立場ほど、意訳に走っても困り者ですが、徳川無声ならではの話の出し方は有ったように、翻訳者も、日本語での表現に直す中での工夫と創意が、盛り込むことが出来てもいいんじゃないかと思うのです。