
出ました、お得意の中東舞台の一作。もう、映画の画面が頭に浮かぶような典型的な作品の一つ。彼女の作品としてみれば、これは標準作品となってしまうのだろうが、そのきらびやかな登場人物達と、みごとな舞台風景の描写、そこに盛り込まれている緊張感は、「これがクリスティの世界だ」と言わせしめる仕上がり。
こういうストーリーを、驚くべき速度で発表しつづけた彼女という人間は、やはり天才を超越した才能を持っていたと思わせます。
つぼに入った話を、つぼに入った展開で書き上げる・・・カーもそうですが、見事な世界を確保していたものですねぇ・・・。

死との約束
早川ポケミスからの一冊。手馴れた表紙デザイン、まんまの題名、翻訳書の典型といえる仕事振りは、顧客満足もいつもどおり与えてくれる・・・クリスティのお約束本という一冊です。