
「竹中英太郎作品譜」として唯一出版された画集。英太郎没後に遺族(長男:竹中労氏)により編纂された。









昭和6年〜昭和7年
1990年8月 株式会社三一書房より刊行


先進社より刊行された文庫本サイズのシリーズ「先進社大衆文庫」の一冊。
甲賀三郎の著作の表紙カバーと挿絵を担当。この文庫には乱歩の「明智小五郎」があり、その表紙カバーも手がけている。
昭和5年4月

本書は、英太郎氏の没後、その画業を愛する子息労氏が中心になって編纂した一冊で、英太郎個人画集としては、現在のところこの一冊だけとなっている。
内容は三章に大別され、一章ニ章は、戦前の作品を掲載。
新青年時代の残酷絵が中心で、孤島の鬼、盲獣、鬼火の充実したコレクションはファンとしてうれしい。
ニ章では、英太郎の夢野久作に対する思い入れが述べられており、久作作品に寄せた挿絵が多く掲載されている。
画家としての心残りとして「ドグラ・マグラを描かなかったこと」というほどの思い入れを持っていた。本書92ページには、そのイメージの素描が掲載されている。
また、ニ章のクライマックスは、「大江春泥作品画譜」の採録だろう。9ページを割いて掲載している。この一連の作品に込めた英太郎の主張について、明確に解説したコメント部分は、なぜ乱歩と決別したのかが明らかになっていて驚かされる。
三章は、戦後50年代に筆を取り直して労氏の著作に寄せた作品群が収録されている。一転してカラー作品が多い。英太郎の世界観が、より強く表されていると思わされるコレクションといえる。
巻末に画業の履歴をまとめた年賦が編集されている。該当する年次の社会事件なども記載があるので、当時の世相を理解しながら、英太郎氏の考えの変化を思い描くことも容易となる重要な資料となっている。
昭和6年5月
博文館より発行された江戸川乱歩中心の連作単行本の、装丁と口絵を提供。
本作品は、新青年に昭和5年に連作として掲載され、その時には挿絵を提供していた。
まとめた単行本として本書が出版されるときに口絵と装丁を担当・提供している。




昭和7年8月
新潮社発行の「新作探偵小説全集」横溝正史作品の一冊。
英太郎は、正史との親交は深く、互いに尊敬もしていたようで、力の入った作品を提供している。横溝正史の「鬼火」に寄せた一連の作品は、完成度も高い。
本作品には挿絵を提供している。函の装丁は、山六郎。



