江川蘭子

博文館発行
昭和6年5月12日初版

残念ながら、函付きの入手は出来なかったが、乱歩初期の快作の一冊。
「空中紳士」が、乱歩を始めとした五人の作家(土師清二、長谷川伸、国枝史郎、小酒井不木、江戸川乱歩)の合作作品であったのに比べ、本書は連作の作品である。
本書は、乱歩の作品を御代のようにして受けた連作作家が、ストーリーを広げて展開していく作り方で、各人の実力も問われる構成から、日本では珍しい。登場する作家6人も、当時の油の乗っていた人気作家であるところが編集の力である一冊となっている。
江戸川乱歩、横溝正史、甲賀三郎、大下宇陀児、夢野久作、森下雨村の勢ぞろいだ。

作品「江川蘭子」の乱歩担当部分は、平凡社「江戸川乱歩全集」の第四巻にも収録されている。

表紙

独特の画風で描く竹中英太郎の挿絵も、本作品の微妙な性格を訴える点で貢献していると思う。新青年連載時の全てが本書単行本版に収録されていないのは残念だが、口絵として、本書の巻頭部分に収録されているので、当時の他の単行本よりは、多くの英太郎作品に出逢えるところがうれしい。
口絵は、全部で8点が納められている。他に英太郎は、扉絵と、表紙・裏表紙のデザイン、函のデザインを提供している。

左の絵は、口絵の一つ。
生首を捧げ持つ蘭子は、ビアズリー調の線画でまとめられており、所作もなまめくように感じられる一点で、好みの作品です。


こちらは、はるかに不気味であり、怪しい雰囲気に満ちた一点。
血塗れた大刀が、画面中央を横切り、生首が展示された背景には、この凄惨な場をのぞく冷たい視線の男が描かれ、かつ、画面中央のほとんどを占めるのが拘束されている人物。なんとアブノーマルな描写でしょうか。
英太郎ファンの私の個人的好みの一番の作品です。

Ranopo

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Eitarou

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